ハザードマップの見方と活用法|三重県の水害・地震リスクエリア
ハザードマップとは——注文住宅の土地選びに欠かせない理由
ハザードマップとは、自然災害による被害の予測範囲を地図上に示したものです。2020年の宅地建物取引業法改正により、不動産売買の重要事項説明で水害ハザードマップの説明が義務化されました。
注文住宅は「どこに建てるか」を自分で選べる分、災害リスクも自分で調べる責任があります。土地の価格が安い理由がハザードマップ上のリスクだった、ということも珍しくありません。
ハザードマップは主に4種類あります。「洪水ハザードマップ」は河川氾濫による浸水予想、「地震ハザードマップ」は予想震度や液状化リスク、「津波ハザードマップ」は津波の浸水範囲、「土砂災害ハザードマップ」は崖崩れ・土石流の警戒区域を示しています。
ハザードマップの確認方法——3つの無料ツール
ハザードマップは無料で誰でも確認できます。以下の3つのツールを活用しましょう。
住所を入力するだけで、洪水・土砂災害・津波・高潮のリスクを地図上に重ねて表示できます。全国対応の最も便利なツールです(https://disaportal.gsi.go.jp)。
「○○市 ハザードマップ」で検索すると、各自治体がより詳細な地域別マップを公開しています。内水氾濫(排水能力を超えた浸水)など、国のポータルにない情報も掲載されています。
住所を入力すると、地盤の強さ・標高・浸水リスク・液状化リスクなどを総合的にレポートしてくれる無料サービスです。地盤の硬軟がわかるため、地盤改良費の目安にもなります。
2026年2月に公開されたオープンデータ基盤で、洪水浸水想定区域・避難施設・学校・公園など多数のデータセットを無料で閲覧・ダウンロードできます(https://www.mlit-data.jp/)。浸水想定区域のGeoJSONデータは地図上で詳細に確認可能で、各市町村のハザードマップよりも広域の比較に便利です。
三重県北部の洪水リスク——木曽三川と鈴鹿川に注意
三重県北部は木曽川・長良川・揖斐川の「木曽三川」と鈴鹿川水系が流れており、河川氾濫のリスクを理解しておく必要があります。
| エリア | 主な河川 | 洪水リスク | 特記事項 |
|---|---|---|---|
| 桑名市 | 木曽川・長良川・揖斐川 | 非常に高い | 木曽三川の合流地点。1959年伊勢湾台風で甚大な被害 |
| 四日市市 | 鈴鹿川・三滝川・朝明川 | 高い | 沿岸部は高潮リスクも。内陸部は比較的安全 |
| 鈴鹿市 | 鈴鹿川・鈴鹿川派川 | 高い | 沿岸部と河川沿いに浸水リスク集中 |
| いなべ市 | 員弁川 | 中程度 | 山間部は土砂災害警戒区域が多い |
| 亀山市 | 鈴鹿川(上流部) | 中程度 | 内陸で比較的安全だが川沿いは注意 |
| 菰野町 | 山地河川 | 中程度 | 鈴鹿山脈の麓は土砂災害に注意 |
| 東員町 | 員弁川水系 | 中程度 | 平坦な地形で内水氾濫に注意 |
国土交通省データプラットフォーム(DPF)で確認できる浸水想定河川
国土交通省データプラットフォームに登録されている北部三重の洪水浸水想定区域データ(2023年版)によると、鈴鹿川水系で以下の3河川が「計画規模」「想定最大規模」の両方のシナリオで浸水想定区域が公開されています。
| 河川名 | 水系 | 管理 | 浸水想定データ | 影響エリア |
|---|---|---|---|---|
| 内部川 | 鈴鹿川水系 | 中部地方整備局 三重河川国道事務所 | 計画規模+想定最大規模 | 四日市市 |
| 鈴鹿川・鈴鹿川派川 | 鈴鹿川水系 | 中部地方整備局 三重河川国道事務所 | 計画規模+想定最大規模 | 鈴鹿市 |
| 安楽川 | 鈴鹿川水系 | 中部地方整備局 三重河川国道事務所 | 計画規模+想定最大規模 | 鈴鹿市 |
浸水想定区域のGeoJSONデータは国土数値情報ダウンロードから入手でき、GIS上で詳細な浸水範囲を確認できます。
市町村別 避難施設数の比較
国土交通省データプラットフォームに登録されている避難施設データ(国土数値情報 P20)から、北部三重7市町村の避難施設数を比較しました。避難施設の多さは災害時の安心感に直結します。
| エリア | 避難施設数 | 学校数 | 公園数 | 浸水想定河川 |
|---|---|---|---|---|
| 鈴鹿市 | 406 | 228 | 84 | 鈴鹿川・鈴鹿川派川、安楽川 |
| 亀山市 | 379 | 139 | 44 | — |
| 四日市市 | 186 | 250 | 91 | 内部川 |
| 菰野町 | 171 | 135 | 41 | — |
| 桑名市 | 129 | 175 | 60 | — |
| 東員町 | 77 | 132 | 54 | — |
| いなべ市 | 27 | 94 | 17 | — |
出典: 国土交通省データプラットフォーム(CC BY 4.0)洪水浸水想定区域(A31)・避難施設(P20)・学校(P02)・都市公園(P29)
南海トラフ地震——三重県北部の予想震度と液状化リスク
南海トラフ巨大地震(想定M9.1)が発生した場合、三重県北部でも震度6弱〜7の揺れが予測されています。加えて、養老-桑名-四日市断層帯(全長約60km)による直下型地震のリスクもあります。
| エリア | 予想震度(南海トラフ) | 津波リスク | 液状化リスク |
|---|---|---|---|
| 四日市市 | 震度5強〜7 | 中(沿岸部、到達約70分) | 高(沿岸部)/ 低(内陸部) |
| 桑名市 | 震度6弱〜6強 | 低〜中 | 高(低地・河川デルタ) |
| 鈴鹿市 | 震度6弱〜6強 | 中(沿岸部) | 中〜高(沿岸部) |
| 東員町 | 震度6弱〜6強 | なし | 低〜中 |
| いなべ市 | 震度5強〜6弱 | なし | 低 |
| 亀山市 | 震度5強〜6弱 | なし | 低 |
| 菰野町 | 震度5強〜6弱 | なし | 低 |
液状化リスクは地盤の種類によって大きく異なります。伊勢湾沿岸の沖積低地(最近の地質時代に堆積した柔らかい地層)は液状化リスクが高く、内陸の台地や丘陵地は低い傾向です。いなべ市・亀山市・菰野町など内陸エリアは地震・液状化ともにリスクが比較的低く、地盤が安定しています。
安全な土地を見極める5つのチェックポイント
ハザードマップの確認に加えて、現地でも以下の5つのポイントをチェックしましょう。
- 雨上がりの現地確認:雨から24時間後に訪問。水たまりが残っていたら排水が悪い証拠。隣接するブロック塀にL字型のひび割れがあれば地盤沈下の兆候
- 周辺のマンホール:マンホールが路面より高い・低い位置にある場合、地盤の不同沈下が起きている可能性
- 盛土か切土かの確認:造成地は「盛土(土を盛った)」と「切土(土を削った)」で地盤の安定性が大きく異なる。盛土は沈下・液状化のリスクが高い
- 古い地形図との比較:国土地理院の旧版地図で、かつて田んぼ・湿地・河川敷だった場所は地盤が弱い傾向。埋立地も同様
- 地盤調査(プロに依頼):スウェーデン式サウンディング試験で3〜5万円。軟弱地盤が判明すると地盤改良に100〜500万円かかるため、土地購入前の確認が重要
災害リスクと土地価格のバランス——三重県北部の賢い選び方
災害リスクの低いエリアは地価がやや高めですが、三重県北部なら首都圏と比べて十分に手頃な価格です。安全性と費用のバランスを考えましょう。
リスクが低いエリアの特徴
- 台地・丘陵地に位置する(標高が周辺より高い)
- ハザードマップで着色されていない
- 古くからの住宅地(地盤が安定している証拠)
- 内陸部で津波・高潮のリスクがない
注意が必要なエリアの特徴
- 河川の近く(特に合流地点や氾濫原)
- 海抜が低い沿岸部(高潮・津波リスク)
- 造成された盛土地(地盤沈下・液状化リスク)
- 山裾の急傾斜地(土砂災害警戒区域)
よくある質問
ハザードマップはどこで確認できますか?
国土交通省の「重ねるハザードマップ」(https://disaportal.gsi.go.jp)で住所を入力すれば、洪水・土砂災害・津波のリスクを無料で確認できます。より詳しい情報は各市町村の公式サイトで公開されています。「○○市 ハザードマップ」で検索してください。地盤の強さは「地盤サポートマップ」(ジャパンホームシールド提供)でも無料で調べられます。
三重県北部で地震のリスクが低いエリアはどこですか?
南海トラフ地震の予想震度は三重県全域で高いですが、いなべ市・亀山市・菰野町など内陸部は震度5強〜6弱と比較的低めです。津波リスクもなく、液状化リスクも低い傾向です。一方、四日市市・桑名市の沿岸低地は震度7が予測されるエリアもあるため、同じ市内でも内陸の台地を選ぶことでリスクを大幅に軽減できます。
ハザードマップで色が付いている土地は買わない方がいいですか?
必ずしもそうとは限りません。浸水深0.5m以下(床下浸水レベル)であれば、基礎を高くするなどの対策で対応できる場合もあります。ただし、浸水深3m以上のエリアや「家屋倒壊等氾濫想定区域」、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)は避けることを強くおすすめします。色の濃さと浸水深の関係を正しく読み取り、リスクの程度を判断しましょう。
地盤調査は土地を買う前にできますか?
原則として、地盤調査(スウェーデン式サウンディング試験)は土地の所有者の許可が必要なため、購入前に実施するのは難しい場合があります。ただし、「地盤サポートマップ」や「地盤カルテ」などの無料オンラインツールで周辺の地盤データを事前に確認することは可能です。また、売主や不動産会社に過去の地盤調査データの有無を問い合わせることもおすすめします。
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